LIGHTBULBでMTMシューズを初オーダー【②仮靴到着編】

義肢装具士の野口達也氏がラスト(木型)設計し、靴職人の外林洋和氏とタッグを組むビスポークドレスシューズブランド『LIGHTBULB/ライトバルブ』。

革靴が好きだけど外反母趾で悩む私が出会った期待のブランドです。

3ヶ月ほど前に東京で開催された受注会でMTM(Made to Measure)オーダーをした仮靴が到着したのでレポートします。

LIGHTBULBでMTMを検討している方の参考になれば幸いです。

LIGHTBULBのMTM靴完成までの流れ
  • iD-FOOTによる足の採寸
  • フィッティングシューズを履く
  • デザインと仕様の決定
  • 仮靴の試し履きと検証
  • 仮靴の情報をフィードバック
  • 本靴完成・納品
もけ@ブログ主

今回の記事は④を中心とした内容です

過去記事はこちら↓

もくじ

仮靴の詳細

今回はフィット感を検証するための仮靴なので、ラストとデザイン以外は仕様が異なります。

項 目仮 靴 の 仕 様
ラストMTM(自分用にモディファイド)
デザインセミブローグオックスフォード
※フルブローグオックスフォードがベース
製法ウェルトの無い簡易なハンドソーン
※アッパーとソールは接着で取付
アッパー黒のスムースレザー
ソール簡易なハーフラバーソール

完成品(本靴)は以下の仕様でオーダーしています。

項 目本 靴 の 仕 様
ラストMTM(自分用にモディファイド)
デザインセミブローグオックスフォード
※フルブローグオックスフォードがベース
製法ダイレクトグッドイヤーウェルテッド
アッパー茶のスエード
ソールレザー

私が参加した受注会ではセミブローグが既存バリエーションに無かったので、フルブローグからつま先のデザインを変更することでこのデザインを実現させました。

開梱と全体写真

では開梱の様子を写真でひと通りご覧いただきましょう。

梱包用ダンボールからプチプチに包まれた状態の箱を取り出しまして、

箱を開けるとタオルに包まれた仮靴と使用上の注意点なとが記されたA4用紙2枚が入っていました。

仮靴の全体像を見ていきます。まずは俯瞰から。

サイドの内側。

サイドの外側。

ソールはこんな感じ。

細部の写真

少し短めのキャップはクラシックな雰囲気で長いキャップよりは好き。
メダリオン(つま先の穴飾り)の模様はこちらからリクエストしました。

メダリオンはもう少し凝縮できるか相談してみたい

ヒールカップの形状。そんなに小さくはないかも。

履き口にいちばん近いアイレットにはLIGHTBULBのアイコンでもある金具が。

仮靴は丸紐だけど本靴では平紐でオーダー

薄めのVibramハーフラバーが貼り付けられたソール。

ヒールの積み上げは革。

中底とソールの革は本靴に比べてクオリティは落ちます。

中底の凹凸感が控えめに感じるのは開帳足な自分用ゆえか

インソック(半敷き)は刻印なし。

出し縫いはしていないので、コバにステッチはなし。

掬い縫い(?)のステッチが見える。

外反母趾つけ根箇所は革の出っ張りが思ったほど気になりません。

仮靴だけどアッパーの質感は良さそう

室内履きインプレッション

同梱されていた用紙には、おおむね以下の内容が記されています。

  1. まずは室内で試す
    (推奨する履き方の記述あり)
  2. 無理がなければ外履きを近所から始めて徐々に範囲を広げていく
    (痛みや擦れ、違和感が増大した場合は使用を中止して報告)
  3. 最低でも1~2週間ほど掛けて慣らし、履き心地のデータを収集する
  4. 指定されたフォームからアンケートに回答する

デリケートクリームを塗布してから、上記に従って最初は室内で試し履きをしてみる。

率直な印象は『甲に余裕があるかなぁ』という感じ。とくに右は羽根がほぼ閉じきってしまう。

左右の屈曲部に深めのシワが入ること、外踝の下あたりに靴のトップラインが当たる感覚も気になった。

ポジティブなところは、外反母趾部分の痛みをほぼ感じないこと。
相性が良くない靴は、履いた瞬間に拇指のつけ根に痛みを感じて立っているのも苦痛だが、この靴にはそれがなくて快適。

こんなフィット感をずっと探していた!

まだ室内で履いただけの感想なので、時期尚早かもしれないけど期待で胸が高鳴ります。

もけ@ブログ主

では外履きに行ってきます!

外履きインプレッション

最初にお伝えしておきます。
試し履きの際は以下の項目を意識しておくと、アンケート回答(フィードバック)がスムーズに進みます。

  • 全体的なフィット感
  • 特定箇所の当たりや気になるところ
  • 試し履きした頻度と時間
  • 仮靴の外観や雰囲気の印象

検証は休日と仕事から帰ったあとを中心に、延べ24日間かけて進めました。

休日は日中
仕事の日は帰宅後
検証の内訳
  • 使用回数:11回(週2~3回)
  • 総距離:約47.5km
  • 総歩数:約61,000歩

正直もう1〜2回履きたかったけれど、左足ソールの接着が少し弱ってきたようなのでやむを得ず終了。

完全に剥がれてはいないが念のため

それでもフルマラソン以上の距離を歩くことができたのはとても有意義で、外反母趾部分を中心にじっくり靴と向き合うことができて良かった。

試し履き終了後の仮靴です。
ありがとう、楽しかった。

やはり革質がいい

トータルコンタクトで足の疲れが減少

全体的なフィット感の印象は、いい意味で『主張がない』こと。(注:褒め言葉)

自分の足にモディファイド(調整)されたMTMラストは、受注会で履いたゲージ靴ほど中底の凹凸を感じず、踵はそれほどコンパクトに見えない。でも履き終わったあと足に疲れが残らないのが不思議。

ふだん目立たない子が、実は身体の軸がブレない超絶ダンススキルを持っていた!みたいな。

…ちょっと何言ってるかワカラナイです…か?

LIGHTBULBが誇る『トータルコンタクトラスト』の実力を垣間見たようで、完成品がとても楽しみ。

【トータルコンタクトラストとは?】
義肢装具士が医療現場で培った知識や経験を活かし、歩行時の足に掛かるストレスを抑えたLIGHTBULBの自社設計ラスト(木型)のこと。

改善が必要なところ

とはいえ気になる点はあるので、良かった点と共にまとめました。

踝下にトップラインが当たる

室内履きで予感した通り、初日は見事に皮が剥けた。程度を見極めるためにあえて絆創膏などの予防措置は取らずに決行したのでこれは自己責任。

赤く丸で囲った部分が当たる

いちおうLIGHTBULBに報告。

よめせん氏より”該当部分の革を摘み、外側に揉み開いて改善するか試してみて”とアドバイスをもらい、実行すると当たりはややマイルドに。

本靴(完成品)ではパターン変更と釣り込み調整で対応するとのこと。

甲の高さと屈曲部の空間

この2つも室内履きで感じていたが、これは理由があって私の外反母趾への配慮から圧迫感が出過ぎない程度の数値設定で仮靴をつくってくれたから。

フィードバックをもとにラストを削り込んで完成させる予定、という旨を踝の件のときに知りました。

右踵の追従

外反母趾(つけ根)の痛みはほぼなかったが、甲の高さ方向に余裕があり過ぎたかなぁと思う。

高さ方向の余裕は、右足の羽根が閉じきるくらいあって紐を閉めたくても適わない。
そのため歩行時、踵で着地〜つま先に重心移動して踵が浮く際に靴が付いてきてくれない感覚が気になってしまった。

こちらものラスト削り込みでベストバランスに仕上げてくれると信じます。

キャップとメダリオンのバランス

デザイン面のフィードバックもOKのようなので2つ指摘しました。

  • キャップを少し長く(深く)
  • メダリオンをコンパクトに

自分の好みとしてはこのくらいで、その他は気に入ってます。

良かったところ

先述した部分と重複する内容もありますが、次の2点を挙げます。

拇指つけ根の痛みは極小

外反母趾部分の感触は自分的に履き心地を左右する最も重要視するべき項目ですが、結果は◎
検証開始から終了まで評価は変わらなくて、とても素晴らしい!

本靴でもここは不変であってほしい。

履きこんで形付いた拇指部

足裏の疲労感激減

これまで所有した革靴は、履いて1時間もすると足裏の中心というか、ふまずの横辺りが猛烈にダルく感じてくる。
が、この(仮)靴にはダルさを感じない。

長時間履いた場合は未知数(検証は1.5時間が最長)ではあるが、現段階ではこちらも素晴らしい!

そういえばよめせん氏が以前、こんなことを言っていたのを思い出した。

LIGHTBULBの靴作りは今ある足の状態を追うのではなく、足本来の機能を最大限に発揮する位置関係や歩行状態に持っていくインソール(中底)・靴作りを目標としております。

LIGHTBULB 公式note

検証を楽しめるならLIGHTBULBのMTMはおすすめ

仮靴の試し履きを終えて思ったことは「検証すること」を手間と感じるかどうか。

仮合わせもブランドに委ねたいのであればLIGHTBULBは選択肢から外した方かいいかもしれません。

私は一緒に靴作りに携わっているようで楽しかったです。

次回はフィードバック編

今回はここまで。

次回の記事は、仮靴の試し履きで得た情報をアンケート回答する『③フィードバック編』です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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